日頃から何気なく目にする同上マーク正式名称は、国語学・タイポグラフィの世界で「ノノ字点(ノノじてん)」と呼ばれます。これは、カタカナの「ノ」を斜めに2つ並べて書いた形状(ノノ)に見えることから名付けられた、日本固有の呼び名です。印刷・出版業界では「ディトーマーク(ditto mark)」の日本語訳として扱われるケースもあります。
日本語の表記体系において、同じ語句や文字を繰り返す際に用いる記号群を総称して「踊り字(おどりじ)」または「重ね字」「送り字」と呼びます。例えば「人々」に使われる「々」は同字点、「いすゞ」などの「ゞ」は濁点付きの一の字点と呼ばれますが、踊り字ノノ点である「〃」は、文字そのものではなく「上の行や直前の語句と同一であること」を示す特殊な役割を担ってきました。
明治期以降、帳簿や名簿、統計表の作成が近代化する過程で、筆記の労力を削減するために帳票文化の中で広く定着しました。西洋の引用符(ダブルクォーテーション「”」)と類似していますが、日本の縦書き文化に合わせて上から下へ流れる筆記動線の中で独自に進化した経緯を持っています。