館内に足を踏み入れると、そこにはヨーロッパの貴族が愛した庭園文化と古き良き建築美が広がっています。富士山を借景にしたロケーションと調和する西洋風ガーデンには、初夏から秋にかけて数百品種のバラが咲き誇り、散策するだけでも非日常の贅沢な時間を堪能できます。
数ある展示の中でも、河口湖音楽と森の美術館の見どころとして筆頭に挙げられるのが、歴史的価値を持つ自動演奏楽器のコレクションです。特にメインホールに鎮座する「タイタニックモデル オルガン演奏」は、かつて悲劇の豪華客船タイタニック号のファーストクラス向けに製造されながらも、納期の遅れによって難を逃れたという数奇な運命を持つ名機(ヴェルテ・オーケストリオン)です。100年以上の時を超えて現代に蘇る豊かで繊細なパイプオルガンの音色は、訪れる人々に深い感動を与えています。
さらに、コンサートホールに設置された巨大なダンスオルガン(ベルギー製・モルティエ社)も見逃せません。壁一面を覆い尽くすほどの規模から放たれる圧倒的な音圧と、人形たちが音楽に合わせて動くからくり仕掛けは、大人から子どもまで息を呑む迫力です。単なる「展示物の鑑賞」にとどまらず、空間全体が音と光で震えるダイナミックな体験こそが、この施設の真骨頂といえます。