警察発表を右から左へ垂れ流すだけの広報報道に、鋭い一石を投じたのがジャーナリストの清水潔だ。足利事件において真犯人のDNA鑑定ミスを暴き出し、無実の人間を獄中から救い出した彼の仕事は、調査報道・ジャーナリズムの真髄として今も語り継がれている。
事件現場に何度も足を運び、近隣住民のささいな違和感を拾い集め、自らの足で事実を積み上げていく愚直な現場主義。国家権力や警察組織が「見落とした」あるいは「見落としたことにした」盲点を突きつけるジャーナリズムの力こそが、停滞したコールドケースに風穴を開ける決定打となる。警察だけに頼らない市民社会の監視の目が、事件を風化の淵から引き戻すのだ。