本作のクライマックスで観客に大きな衝撃を与えたのが、謎の黒幕と目されていたアラン・チェイシーの真の正体と、それに伴う二大主人公の共闘劇です。物語の表面上、アランはイタリアの人気若手歌手エミリオの所属事務所オーナーであるルチアーノと手を組み、希少な「ヴェスパニア鉱石」を軍事利用目的で密輸しようとする国際的武器ブローカーのように描かれていました。
物語終盤の空中戦で明らかになった真相は、常識を鮮やかに覆すものでした。アラン・チェイシーは悪徳バイヤーではなく、某国ジルバ連邦の特殊諜報機関に所属する潜入捜査官だったのです。彼の真の目的は、自国を脅かす軍事兵器の完成を阻止するため、ルチアーノが画策するヴェスパニア鉱石の不法取引現場を押さえ、密輸ルートそのものを根底から壊滅させることにありました。
輸送機の甲板という極限のシチュエーションにおいて、江戸川コナンとルパン三世はそれぞれの立場を超えて命がけの協力を展開します。コナンは持ち前の超人的な機転とサッカーボール花火を駆使し、ルパンは銃撃戦と卓越した操縦技術で対抗。ヴェスパニア鉱石とチェリーサファイアの反応によるステルス爆弾の起動を寸前で食い止めました。
落下するコナンをルパンが間一髪で抱き留め、パラシュートで生還を果たすシーンは、二人の間に芽生えた奇妙で強固な信頼関係を象徴しています。互いの正義と美学を決して曲げないまま、巨悪の打破という一点においてのみ交差するプロフェッショナリズムこそが、本作の結末に重厚な後味をもたらした最大の要因です。