視聴者の受け止め方はどうだったのか。大手掲示板やSNS、知恵袋などの過去数十年にわたる書き込みを分析すると、世代による明確な好みの違いが浮き彫りになります。
昭和30〜50年代に幼少期を過ごしたオールドファンからは、「友竹正則さんの重厚な歌声と高田敏江さんの古風な語りこそが『眠れる森の美女』の原体験」「当時のクラシックレコードの音源が懐かしい」といった声が根強く存在します。映画としてのテンポよりも、古き良き日本語劇としての格調高さを愛するファン層です。
一方で、1990年代以降にVHSやDVD、そして現在のストリーミング配信で育った世代からは、「すずきまゆみさんの歌声が美しすぎて鳥肌が立つ」「沢田敏子さんのマレフィセント以外は考えられない」という声が圧倒的多数を占めます。台詞の掛け合いのテンポ、現代の子供たちにも直感的に伝わる滑らかな翻訳表現は、現行版の完成度が極めて高いことを証明しています。
なお、現在旧吹き替え版を鑑賞することは極めて困難です。公式配信や現在流通しているディスクメディアはすべて1995年版に統一されており、旧版を耳にするには、昭和期に製造された初期のレーザーディスク、VHS、あるいは当時のドラマ編LPレコードを中古市場で発掘するしか手段がありません。