プロレス界屈指の巨躯を誇る猪木さんの平手打ちは、当然ながら尋常ではない破壊力を持っています。実際に受けた人々の証言によると、「目の前が真っ白になり、耳の奥でキーンと金属音が響く」「口の中に血の味が広がる」といった声が多数を占め、容赦のない本物の痛みであったことは間違いありません。
しかし驚くべきことに、これほど何万人もの一般人にビンタを浴びせながら、深刻な傷害事件や訴訟トラブルは一度も起きませんでした。そこには猪木さんならではの卓越したプロの技術と配慮がありました。
相手の体格や性別、構えの姿勢を一瞬で見極め、首への負担を逃がす絶妙な角度で手のひらを当てていたとされます。相手を傷つけるためではなく、相手の眠っている生命力を呼び起こすための打撃。本気でありながら破滅させない絶妙なコントロールがあったからこそ、法的な問題に発展することなく伝説として成立し続けました。