鼻づまりの直接的な正体は、鼻水が溜まっていることだけではない。大半のケースでは、鼻腔内にある「下鼻甲介(かびこうかい)」と呼ばれる粘膜のヒダが、炎症や血流の鬱滞によってパンパンに腫れ上がり、空気の通り道を塞いでいることにある。したがって、一瞬で鼻づまりを治すためには、この肥厚した鼻粘膜の血管を急激に収縮させ、腫れを引かせる必要がある。
ネット上で驚異的な再生回数を記録し続けている代表格が「ペットボトルを脇に挟む裏技」だ。やり方は極めてシンプルで、500mlのペットボトル(または丸めたタオルや握り拳)を、詰まっている鼻と「反対側の脇の下」に挟み、20〜30秒ほど強めに圧迫するだけである。
この裏技が成立する鍵は、医学的に「側胸部圧迫反射(半身発汗反射・高木反射の一種)」と呼ばれる自律神経の交差性反射にある。脇の下には太い神経叢と圧受容器が集結している。片側の脇が強く圧迫されると、人体は外圧に対抗するため、圧迫された側と反対側(対側)の上半身で交感神経の活動を急激に高める。交感神経が優位になるとアドレナリンが作用し、反対側の鼻粘膜に密集する毛細血管が一気に収縮する。その結果、わずか数十秒で下鼻甲介の容積が縮小し、空気が一気に通るようになるわけだ。
もうひとつの即効技である「息止め体操」も、人体の生命維持反射を巧みに突いたメカニズムを持つ。
【息止め体操の具体的ステップ】
1. 深く息を吸い込み、ゆっくりと息を吐ききる。
2. 息を完全に吐ききった状態で鼻をつまみ、口を閉じる。
3. そのまま頭をゆっくり上下に動かしながら、苦しさを感じる限界(無理のない範囲)まで息を止める。
4. 限界に達したら手を離し、ゆっくりと鼻から息を吸い込む。
この息止め体操の仕組みは、血中二酸化炭素濃度の急上昇に伴う脳幹の危機回避システムだ。息を吐ききって呼吸を止めると、体内では急速に酸素が枯渇し、二酸化炭素濃度が跳ね上がる。脳は「窒息の危機」と判断し、生存のために緊急事態スイッチをオンにして交感神経を限界まで賦活化させる。全身にアドレナリンが駆け巡り、空気を取り込む気道を最大限に確保しようと鼻粘膜の毛細血管を急速収縮させるため、息を再開した瞬間に劇的な開通感が得られるのだ。
さらに、古くから東洋医学と解剖学の接点として知られる鼻づまり即効ツボ迎香(げいこう)も外せない。小鼻(鼻翼)の最も広がった部分の両脇、わずかなくぼみにあるこのツボは、顔面を走行する三叉神経の第2枝(上顎神経)の刺激点に位置する。人差し指の腹を当て、斜め上(鼻筋の方向)に向かって「痛気持ちいい」と感じる強さで2〜3分間押し揉むことで、鼻腔粘膜周囲の局所血流が促され、鬱血した組織液の排出が促進される。