営業終了後、最も関心を集め続けたのが「映画館の跡地が何に変わるのか」「後継テナントは居抜きで決まるのか」という点でした。現地棟の現状およびリニューアルの進捗を確認すると、トリアス全体の開発方針が大きくシフトしていることが明確になります。
トリアス久山は現在、映画館を中心とした従前の「大型広域エンタメ誘致」から、「日常使いの生活密着・屋外レジャー・体験型ショッピングの融合」を主軸とした大規模リニューアルを進めています。敷地内では生鮮食品を扱う「生鮮市場」の強化、アウトドアブランドや大型ホビー・ディスカウント専門店の集約、ファミリーが日常的に滞在できる屋外環境の再整備が進行しています。
しかし、旧映画館棟そのものの完全な転用には、シネコン特有の構造的制約が立ちはだかりました。階段状になったコンクリート床(段床)、防音のために区切られた特殊な空間、窓のない巨大な吹き抜けは、一般的な物販店やスーパーへの転用が容易ではありません。そのため、館内設備の一部解体や配置転換を伴いながら、倉庫・物流拠点、大型屋内アクティビティ施設、アミューズメント複合スペースなど、高天井を活かした業態への分散活用や区画再編が順次検証・展開されてきました。
映画館が抜け落ちたことによる集客の落ち込みを危惧する声もありましたが、コストコホールセール久山倉庫店を軸とした強力な来店動機と、日用品・ライフスタイル店舗のテコ入れによって、施設全体の来場者数は独自の安定を取り戻しています。