カマス料理の成否を握るのは、調理前のカマスの捌き方 下処理です。カマスは肉食性で小魚を丸呑みにするため、消化器官に消化酵素が多く、釣り上げたり水揚げされたりした直後から鮮度低下と臭みの発生が進行します。また、身の水分量が多いため、水分をいかに適切に抜くかが最大の鍵となります。
下処理の基本手順は以下のステップで進めます。
ステップ1:カマス 鱗取り 内臓処理の徹底
カマスの鱗は非常に細かく剥がれやすいため、包丁の背やペットボトルのキャップを使って尾から頭に向かって優しく撫でるように取り除きます。その後、頭を落として(またはエラ膜を切り)、腹を切り開いて内臓を一気に掻き出します。中骨に沿って走る「血合い」を歯ブラシや爪楊枝で綺麗に流水洗浄し、すぐにペーパータオルで腹腔内の水分を拭き取ります。
ステップ2:身質に合わせた捌き方
塩焼きや一夜干しにする場合は「背開き」または「腹開き」が適しています。背開きにすると背骨が片側に残り、火の通りが均一になります。フライや天ぷら、炙り刺身にする場合は「三枚おろし」や「大名おろし」で素早く骨と身を分離します。カマスの骨は細く柔らかいものの、小骨が身に残ると食感を損なうため、腹骨を薄くすき取り、中骨(小骨)は骨抜きで丁寧に抜くか、飾り包丁を入れて断ち切ります。
ステップ3:水分コントロール(振り塩処理)
どのような料理にする場合でも、三枚におろした身や開いた身に軽く振り塩(重量の約1%程度)をして10〜15分置き、表面に浮き出た余分な水分と生臭さをペーパーでしっかり拭き取ります。浸透圧脱水シート(ピチット等)を活用して30分ほど冷蔵庫で寝かせると、余分なドリップだけが抜け、旨味が劇的に凝縮します。