5000メートルという距離を12分台や14分フラットで走破する感覚は、一般的なランナーの想像を遥かに絶します。世界記録保持者が刻んだ1000mごとのスプリットと400mトラック1周のラップペースを分析すると、その過酷さが浮き彫りになります。
男子記録保持者のチェプテゲイは、5000mを平均1000mあたり約2分31秒07で走り抜けています。これを400mトラック1周に換算すると約60秒43、100mあたりでは約15秒10という計算です。一般成人男性が全力疾走する100mスプリントのスピードを、途切れることなく50回連続で繰り返す運動量に匹敵します。
女子のツェガイの場合、1000m平均は約2分48秒04であり、400mトラック1周を約67秒22(100mあたり約16秒80)で巡航しています。かつて男子のトップランナーが走っていたスピード領域に、現代のトップ女子選手が到達している事実は、陸上競技史における最大の進化点といえます。