乗車直前に券売機へ駆け込んだ旅行者が「かがやきに自由席がない」ことに驚くケースは後を絶ちません。JRが「かがやき」を全席指定席(座席未指定券制度の導入ではなく完全指定制)としている背景には、長距離都市間輸送の快適性維持と車内オペレーションの安定化という強い狙いがあります。
北陸新幹線は全編成が12両編成で共通化されており、使用車両はJR東日本所属のE7系およびJR西日本所属のW7系です。両形式は車体カラー(空色・青銅色・銅色)から客室仕様まで共通設計されており、乗客目線での車内設備に差はありません。しかし、全席指定の「かがやき」と自由席を備えた「はくたか」では、車内の空気感が大きく異なります。
北陸新幹線沿線の主要駅ホームを取材すると、金沢や富山、敦賀の改札口付近では、ビジネスパーソンがモバイル端末片手に「かがやき」のシートマップを確認しながら整然と乗車していく様子が目立ちます。全席指定にすることで自由席車両特有のデッキ混雑や通路の立ち往生を排除し、2時間半を超える高速移動中の静粛性を確保しているのです。
なお、自由席を利用したい場合は「はくたか」を選ぶ形になりますが、普通車指定席と普通車自由席の間には通常期で530円(閑散期330円、繁忙期730円、最繁忙期930円)の特急料金差が生じます。わずかな差額で着席保証と移動の快適性を手に入れられる計算になるため、ピーク時間帯は指定席の早期満席が常態化しています。