才能や努力によって掴み取った成功であるはずなのに、なぜ一部の著名人は傲慢な態度に染まってしまうのか。その根底には、精神分析や社会心理学でも指摘される選民思想心理の形成があります。幼少期や十代の多感な時期から大衆の羨望を浴び、周囲の大人が機嫌を取り続ける環境に身を置くことで、「自分は特別に選ばれた人間であり、一般人とは異なるルールで生きている」という全能感を無意識に肥大化させてしまうのです。
この歪んだ自意識に拍車をかけるのが、旧態依然としたテレビ業界裏事情です。大手芸能事務所の看板を背負うタレントに対し、制作現場ではチーフプロデューサーからADに至るまで過剰なまでの忖度が働きます。移動は専用車、現場に入れば専属スタッフが何人も取り囲み、飲食から私生活の雑務まで手厚くケアされる環境は、特権意識理由の決定打となります。何もしなくても周囲が平身低頭する日常が数年続けば、誰であっても「他者に尽くされるのが当然」という感覚麻痺に陥るリスクを抱えています。
結果として、現場で態度がでかいタレントと囁かれる人物であっても、本人は自分が横柄に振る舞っている自覚すら持っていないケースが散見されます。彼らの認知の中では、一般市民や若手制作スタッフは対等な対話相手ではなく、「舞台装置の一部」として客体化されてしまっている実態が浮き彫りになります。