主要山岳における実際の利用実態はどうでしょうか。登山者数が多い富士山てんきとくらすや八ヶ岳てんきとくらすの利用現場を検証すると、山域特有の課題が見えてきます。
日本最高峰の富士山(標高3,776m)では、平地との標高差が極めて大きいため、テンクラが参照する計算モデルの高度補正と実際の山頂環境にズレが生じることがあります。山頂付近の強烈なジェット気流の影響を受けやすく、風速予報が数時間ズレるだけで「穏やかなA判定」から「吹き飛ばされるようなC判定」へと急変します。富士山登山でテンクラを見る際は、登山指数だけでなく、必ず気象庁の高層天気図や風速の絶対値を確認しなければなりません。
一方、南北に長く連なる八ヶ岳連峰では、南八ヶ岳(急峻な岩峰群)と北八ヶ岳(なだらかな原生林と苔の森)で気象ストレスが大きく異なります。テンクラで同じ「指数B」と表示されていても、北八ヶ岳の樹林帯歩きなら快適に楽しめるのに対し、南八ヶ岳の赤岳や阿弥陀岳の岩稜帯では突風によって行動不能に陥るリスクがあります。
SNSや登山コミュニティにおけるテンクラ信頼性評判を分析すると、「日帰り低山や里山歩きには手軽で手放せない」「高山縦走ではテンクラのA判定を鵜呑みにせず、ヤマテンやSCWの気流予測を重ね合わせて最終判断している」というベテラン登山者の使い分けが定着しています。