宇宙世紀の魅力を語る上で欠かせないのが、テクノロジーの進化と衰退を描き出した「モビルスーツ開発系譜」です。兵器の変遷を追うだけでも、当時の世界情勢が手に取るように分かります。
U.C.0079のザクIIやガンダムに始まったMSは、U.C.0087のグリプス戦役期に「可変機構(TMS)」や「ムーバブルフレーム」の導入により急激な進化を遂げました。さらにU.C.0088の第一次ネオ・ジオン抗争では、ZZガンダムやクィン・マンサに代表される大型化・大火力化・重装甲化のピークを迎えます。しかし、巨額の開発費と運用コストは組織の財政を圧迫し、U.C.0093の『逆襲のシャア』期には、基礎性能の原点回帰と「サイコフレーム」によるパイロット追従性の向上へとパラダイムシフトが起こりました。
そして2018年にバンダイナムコグループが発表し、現在も継続中の長期ロードマップが「UC NexT 0100(ユーシー・ネクスト・ワンハンドレッド)」プロジェクトです。これは、これまで映像化が手薄だったU.C.0100以降の「宇宙世紀第2世紀」を本格的に開拓する戦略構想です。
U.C.0097を描いた『機動戦士ガンダムNT』、U.C.0105の『閃光のハサウェイ』を皮切りに、今後はU.C.0123の『機動戦士ガンダムF91』や、U.C.0153の『機動戦士Vガンダム』へと至る失われた空白期間が次々と映像で埋められていきます。この時代、地球連邦軍の軍備縮小要請とアナハイム・エレクトロニクス社の独占崩壊に伴い、サナリィ(S.N.R.I.合衆国海軍戦略研究所)が主導する「MSの小型化(18m級から15m級へ)」が推進され、F91などの高機動・小型MSが主役に躍り出ることになります。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
宇宙世紀ガンダムシリーズは、鑑賞者の志向によって受け止め方が劇的に分かれるコンテンツです。自身の適性を判断するための基準を以下に提示します。
【深くのめり込める人】
- 国家間の地政学リスク、歴史の連続性、組織内抗争などのリアリズムを好む人。
- 「完全な善も完全な悪も存在しない」という多面的な倫理観や人間心理の機微を味わいたい人。
- プラモデル(ガンプラ)の設計思想や、兵器開発の系譜図などの設定資料を読み解くのが好きな人。
【慎重にアプローチすべき人】
- 勧善懲悪の分かりやすいヒーロー物や、主人公が無条件に勝利する痛快なカタルシスを求める人(初代から主人公の多くが心に深いトラウマを負います)。
- 1作品だけで完結するタイトな構成を好み、膨大なバックボーンの把握を煩わしいと感じる人。
後者に該当する場合は、無理に宇宙世紀から入るのではなく、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』や『機動戦士ガンダムSEED』シリーズといった、単独で物語が完結するアナザーガンダム作品から触れることを強く推奨します。