かつての素朴な市民運動広場を知る人ほど、現在の岩名運動公園の変貌ぶりには目を見張るものがあります。転機となったのは、佐倉市出身の長嶋茂雄氏に対する国民栄誉賞授与(2013年)でした。市はこれを契機に旧岩名球場を「長嶋茂雄記念岩名球場」へと改称。さらに2017年に向けて実施された総事業費数十億円規模の大規模リニューアル工事によって、球場設備は劇的な進化を遂げました。
当時の竣工記念式典には長嶋氏本人が車椅子から立ち上がってグラウンドに降り立ち、王貞治氏ら往年の盟友が見守る中で力強い始球式を披露した光景は、いまも語り草となっています。この改修によって内野黒土・外野天然芝のコンディションがプロ基準へと引き上げられ、ナイター対応のLED照明塔6基、磁気反転式・LED併用の大型スコアボード、そして車椅子対応の観客スタンドが整備されました。佐倉市のスポーツ施設の中でも2026年最新の維持管理基準が適用され、県内屈指のクオリティを維持しています。
一方、かつて夏休みになると子どもたちの歓声で溢れかえっていた岩名運動公園のプール(50m・25m・幼児プール)の現在はどうなっているのでしょうか。現地調査および市の都市計画課資料によると、旧プール施設は施設の構造的老朽化と配管漏水、耐震性の不足を理由に数年前に営業を終了し、すでに廃止・撤去のプロセスが完了しています。「久しぶりに子どもを連れて泳ぎに行こうとしたら更地になっていた」と驚く声がSNSで見受けられるのはこのためです。佐倉市は公共施設再編計画の一環として温水プール施設等への機能集約を進めており、屋外市民プールとしての岩名プールは完全に幕を下ろしています。