本作が数あるドラマの中で異彩を放ち、視聴者の心を掴んで離さない最大の要因が、ケイトと尾高の切なすぎる恋愛の顛末です。かつて恋人関係にありながら、一度は別れ、尾高は別の女性と結婚して子どもをもうけていました。しかし、ケイトが殺人犯の娘かもしれないという過酷な運命に直面した際、常に隣で彼女の防波堤となり続けたのは尾高でした。
物語終盤、尾高の妻・みっちゃんが家を出て離婚届を突きつけたことで、二人が結ばれる障害は消えたかに見えました。最終話で尾高は、ケイトに対して「一緒に暮らそう」とプロポーズにも近い告白をします。しかし、ケイトが下した決断は「プロポーズを断り、記者の仕事に生きる」という道でした。
ケイトが尾高の手を取らなかった理由は、単なる不倫への躊躇や罪悪感だけではありません。尾高が背負っている「父親としての責任」や「妻子を傷つけた罪悪感」を一緒に背負うことで、互いの純粋な愛情が歪んでしまうことを恐れたからです。また、自らの出生の苦悩を乗り越え、週刊誌記者として一人で立ち上がったケイトにとって、尾高への依存から脱却することが真の自立を意味していました。ラストシーン、街頭でカメラを構える尾高と、取材へと走るケイトがすれ違いざまに交わしたアイコンタクトは、互いを人生の戦友として認め合った究極の愛の形として刻まれています。