激しい痒みに耐えかねた犬が頭を激しく振り続けることで引き起こされる二次被害が耳血腫だ。激痛を伴う激振によって耳介内部の毛細血管が破綻し、軟骨と皮膚の間に血液が急速に溜まる。耳たぶがまるで餃子のようにパンパンに膨れ上がり、適切な穿刺排液や外科的処置を行わなければ、耳介が変形したまま硬化してしまう痛ましい病態だ。
一方で、子犬や屋外で保護された犬に猛威を振るうのが耳疥癬症(耳ダニ感染症)である。肉眼では捉えきれないほど微小なミミヒゼンダニが耳道内に寄生し、耳垢や組織液を貪る。その刺激は凄まじく、犬は狂ったように頭を振り乱し、耳からは乾燥した大量の黒色耳垢が噴出する。多頭飼育環境では瞬く間に同居動物へ感染が拡大するため、即座の隔離と駆虫が必須となる。