パスポート申請窓口で最も質問が集中するのが、おう表記オオ表記ヘボン式の取り扱いです。従来の標準ヘボン式では、長音を示す「U」や「O」は一切表記せず、単純に母音を1文字に省略するルールが適用されます。
例えば、「佐藤(さとう)」は「SATOU」ではなく「SATO」、「大野(おおの)」は「OONO」ではなく「ONO」、「優子(ゆうこ)」は「YUUKO」ではなく「YUKO」となります。この省略表記に対して、「海外で『サト』『オノ』と読まれてしまう」という不満や違和感を持つ利用者が後を絶ちませんでした。
これを受け、外務省では業務の柔軟化を図り、申請者が希望する場合には「OH」を用いた非ヘボン式ローマ字表記(例:SATOH、OHNO)を認める例外措置を設けています。ただし、この選択には厳密な制約があり、一度「OH」で登録したパスポートの表記は、原則としてその後の更新時にも変更が認められません。名義変更を安易に行うと、過去の渡航履歴や海外での身元照合に支障をきたす恐れがあるためです。