「家の中にいる極小の虫に噛まれた」「腕や太ももに赤い発疹ができて猛烈に痒い」という訴えは非常に多く寄せられます。しかし、小さい虫刺す危険性と真相を生物学的な観点から解剖すると、意外な事実が浮き彫りになります。実は、シバンムシ、チャタテムシ、トビムシといった代表的な微小昆虫自体には、人間の皮膚を貫くような口器も毒針も備わっていません。
では、あの耐え難い痒みと発赤の真犯人は誰なのか。答えは、微小害虫を宿主として繁殖する「寄生性・捕食性の生物」による二次被害です。特筆すべきは以下の2大脅威です。
- シバンムシアリガタバチ:シバンムシの幼虫に寄生する体長1.5〜2ミリほどの微小なハチ。メスは翅を持たずアリに酷似しており、シバンムシを求めて室内を徘徊する際、布団や衣服に紛れ込んで人間を刺します。刺されると激しい痛みと持続的な痒みが生じ、水疱化することもあります。
- ツメダニ:チャタテムシやチリダニを捕食するために集まる肉食性のダニ。梅雨時から秋口にかけてチャタテムシが増殖すると、それに比例してツメダニも爆発的に増加します。夜間に寝具の中で人間の皮膚を刺し、体液を吸うことで1週間以上続く強烈な痒みを引き起こします。
「虫刺されがあるから」と市販のダニスプレーを撒いても根本解決にならないのは、ダニの餌となっているチャタテムシやシバンムシの一次発生源が手つかずのまま残されているからです。食物連鎖のピラミッドそのものを崩壊させない限り、刺咬被害のループから抜け出すことは不可能です。