私生活において吉永小百合を語る上で欠かせないのが、元フジテレビプロデューサーであり共同テレビ社長などを歴任した夫・岡田太郎氏との関係です。1973年、吉永が28歳のときに15歳年上の岡田氏と結婚を発表。当時の芸能界では前例の少ない電撃婚であり、世間からは大きな反響が寄せられました。
結婚当時、多忙による声の不調や精神的な重圧に苦しんでいた彼女を、岡田氏は包容力をもって支え続けました。料理や家事を二人で分担し、映画の脚本選びにおいても最も信頼できる相談相手として伴走。二人の間には子供はいませんが、その理由について巷で囁かれた健康不安説などは根拠の薄い俗説に過ぎません。
当時のインタビューや自著で語られているのは、「女優という職業に全身全霊で向き合う生き方を選んだ」という自立したプロとしての覚悟です。昭和の時代において「結婚=引退」「女性スターは家庭に入る」という固定観念が根強かったなか、吉永は伴侶との対等なパートナーシップを築き上げ、二人三脚で銀幕に生きる道を選び取りました。
半世紀以上にわたり連れ添った岡田太郎氏は、2024年1月に94歳で逝去。夫を見送った際、吉永は「50年以上にわたり優しく見守ってくれた」と深い感謝を表明しました。深い喪失感を抱えながらも、彼女は夫が誰よりも愛してくれた「女優・吉永小百合」としての誇りを胸に、前を向いて歩み続けています。