札幌市中心部から車で約40分という距離にありながら、江別蔦屋書店には週末ごとに道内各地から大勢の来訪者が詰めかけます。SNSやレビューサイトでの反応を精査すると、「本を買う場所」という従来の認識を遥かに超えた、空間そのものへの愛着が浮かび上がってきます。
支持を集める中核にあるのは、「食」「知」「暮らし」の3棟が渡り廊下で緩やかにつながる分棟型の建築レイアウトです。本棚が天井近くまでそびえ立つ「知の棟」にはスターバックス コーヒーが核店舗として鎮座し、暖炉の炎を眺めながら購入前の書籍を試し読みできる「BOOK & CAFE」スタイルが徹底されています。ネット上のリアルな口コミでも、「静かな読書空間と活気あるカフェの共存が見事」「木材の温もりと薪ストーブの香りで何時間でも過ごせる」といった声が目立ちます。
消費者がわざわざ足を運ぶのは、デジタル書店では代替できない「偶然の出会い(セレンディピティ)」と「心理的な余白」が設計されているからです。江別蔦屋書店は、モノを売る商業施設から、豊かな時間を過ごす体験型拠点への転換を北海道内でいち早く具現化したモデルと言えます。