小林麻美の人生を語る上で欠かせないのが、元「ザ・スパイダース」のリーダーであり、芸能界屈指の有力事務所「田辺エージェンシー」の創業者である田邊昭知氏との関係です。二人の出会いは1970年代前半、小林が歌手・モデルとして活動を本格化させた時期に遡ります。15歳年上の田邊氏は、早くから彼女の唯一無二のアンニュイな才能を見出し、プロデューサー兼パートナーとして陰ながら支え続けました。
しかし、当時の芸能界における立場上、二人の関係は極秘とされ、交際期間は実に約17年間にも及びました。そして1991年、小林の妊娠を機に極秘入籍。同時に発表された芸能界からの完全引退は、世間に大きな衝撃を与えました。
当時の報道や本人の手記によると、引退の真相は「事務所による圧力」などではなく、「不器用な自分が仕事と育児を両立させることはできない。授かった新しい命と家庭に人生のすべてを捧げたい」という、彼女自身の確固たる意志によるものでした。スポットライトの熱狂よりも、一人の母・妻として生きる静寂を選んだ潔さこそが、彼女の伝説性をより強固なものにしたといえます。