台湾北部、新北市瑞芳区の山間に位置するこの集落は、19世紀末に金鉱が発見されたことで一夜にしてゴールドラッシュの熱狂に沸いた。最盛期には「小香港」と称されるほどの繁栄を極めたが、資源の枯渇とともに鉱山は閉山。街は静かに時を止めたかのように見えた。
転機が訪れたのは1980年代後半のことだ。失われかけた街並みの風情を保存しようとする動きと、映画の舞台として脚光を浴びたことが起爆剤となり、かつての鉱山街は台湾を代表する一大拠点へと再生を遂げた。独自の景観を守りながら現代の受け入れ態勢を整えてきた現地の観光業は、歴史の面影を巧みに旅の体験価値へと昇華させている。