米津玄師が手掛けてきた歴代ドラマ主題歌を振り返ると、その作品理解の深さと時代を射抜くメロディメイクには驚かされます。『アンナチュラル』の「Lemon」、『MIU404』の「感電」、そして『ラストマイル』の「がらくた」へと至る名曲の系譜の中で、「馬と鹿」は最も重厚で骨太なサウンドスケープを持った楽曲として位置づけられています。
池井戸潤作品特有の「逆境からの下克上」というテーマに対し、安易なサクセスストーリーではなく、傷つきながら泥を這う過程の美しさを提示した米津の解釈は、日曜劇場のドラマ主題歌史においてもひとつの到達点となりました。2019年ラグビーワールドカップ日本大会の盛り上がりとも完璧にシンクロし、スポーツアンセムとしての不動の地位を確立したのです。