『なみだ酒』での大成功は、長山洋子の表現者としての進化をさらに加速させた。彼女の真骨頂は、幼少期から嗜んでいた津軽三味線をステージ上で自ら弾きこなす「立ち奏で」という独創的なスタイルにある。重い三味線を抱え、仁王立ちで激しいバチさばきを見せる姿は、それまでの静寂を尊ぶ歌い手のイメージを根底から覆した。
この革新的なパフォーマンスは、後に発表された代表曲『じょんから女節』で完成の域に達する。ダイナミックな三味線の音色と凛とした立ち姿は、視覚と聴覚の双方に強烈なインパクトを与え、彼女を唯一無二のエンターテイナーへと押し上げた。『なみだ酒』で拓いた道は、まさにこの強烈な個性へと繋がる滑走路だったのだ。