「エイ=アンモニア臭い」というイメージを持つ人が多いですが、釣りたて直後のエイには一切の悪臭がありません。それにもかかわらず、調理時に強烈な臭いを発してしまう原因は、軟骨魚類特有の生体構造にあります。
エイがアンモニア臭を放つ理由は、体内の浸透圧を海水と同等に保つために、筋肉中に高濃度の尿素を蓄えているためです。エイが絶命すると、時間経過とともに体内の細菌や酵素(ウレアーゼ)が尿素を分解し、気化したアンモニアガスへと変化します。つまり、アンモニア臭は「鮮度低下」と「残留血液の腐敗」が引き起こす現象なのです。
臭みの発生を完全に防ぐためには、釣り場での脱血に加え、調理前のエイの臭み取りと血抜きを徹底する必要があります。持ち帰ったエイは流水で血塊をきれいに洗い流し、身をカットした後に薄い塩水や酒水に15〜30分ほど浸すことで、身の中に残った微細な尿素と余分な水分が浸透圧によって外へ抜け出します。このひと手間を惜しまないことが、澄んだ旨味を引き出す決定的な鍵となります。