源氏物語「小柴垣のもと」若紫との出会いに隠された真相を徹底解説

源氏物語「小柴垣のもと」若紫との出会いに隠された真相を徹底解説

源氏物語「小柴垣のもと」若紫との出会いに隠された真相を徹底解説に関する深掘り解説を丁寧に解説いたします。

舞台は春の夕暮れ、京都北山の高台にある僧坊。瘧病の治療に訪れていた光源氏は、供の者から「立派な聖(ひじり)の庵の隣に、気品ある尼君が住んでいる」と聞き、夕暮れのつれづれに散策へと向かいます。そこで巡り合ったのが、柴で作られた粗末な垣根(小柴垣)越しに覗き見た、世俗を離れた女性たちの生活空間でした。

光源氏が小柴垣の隙間から見た邸内では、40歳ほどの上品な尼君が読経を終えたところでした。そこへ、泣き顔の美しい少女が走り込んできます。十歳前後に見えるその少女こそが、のちに光源氏の生涯の最愛の妻となる「若紫(紫の上)」です。彼女は「雀の子を犬君(遊び相手の童女)が逃がしてしまった」と悔しがっており、尼君は幼い彼女の行く末を案じて涙を流します。

この瞬間、光源氏は少女の顔立ちに息を呑みます。彼女の顔立ち、仕草、佇まいすべてが、光源氏が命懸けで密かに恋い焦がれる義母・藤壺中宮(ふじつぼのちゅうぐう)に酷似していたためです。少女の正体は、藤壺の兄である兵部卿宮(ひょうぶきょうのみや)の実の娘であり、藤壺の姪にあたる高貴な姫君でした。母を亡くし、祖母である尼君の手ひとつで育てられていたのでした。

加藤 愛美
著者

加藤 愛美

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。