編み物の途中で糸が切れた際、多くの初心者が無意識に行ってしまうのが一般的な「固結び(本結び・コマ結び)」です。しかし、手芸指導者や繊維加工の現場関係者が口を揃える通り、一般的な固結びは毛糸の繊維同士が滑りやすく、着用時の引っ張りや洗濯時の水流によって容易に緩む構造的欠陥を抱えています。
そこで現場で信頼されているのが、古くから織物工場で使われてきた「はた結び(機結び / 織り人結び)」です。はた結びは、一方の糸で輪を作り、もう一方の糸をくぐらせて引き締めることで、互いの糸が噛み合って強い摩擦力を生み出します。引っ張れば引っ張るほど結び目が固く締まる力学的特性を持っており、余分な糸端を1〜2mm程度まで短く切り落としても絶対に解けない結び方として確立されています。
もう一つの定番が、海外のニッターコミュニティを中心に普及した「マジックノット(Magic Knot)」です。2本の糸それぞれに止め結びを作り、互いにスライドさせて極限まで引き合わせるこの技法は、道具を使わずに強固な結節を作れる利便性から、ウェアから小物編みまで広く活用されています。