「上野公園の花見=人混みに揉まれて疲れるだけ」という認識は、中央のさくら通りしか歩いていない来園者にありがちな誤解です。広大な公園設計の特性を理解していれば、大混雑のピーク時であっても静謐な情緒を味わえる穴場スポットが存在します。
最大のハイライトでありながら、さくら通りほどの圧迫感を感じさせないのが不忍池の桜の見どころです。周囲約2kmの池畔には、水面に向かって枝を垂らすソメイヨシノが連なり、水鳥の羽ばたきとともに風情ある光景を描き出します。特に「弁天島」へと続く中堤(なかづつみ)の桜並木は、頭上を覆う桜と左右に広がる水景が同時に視界へ飛び込む屈指のビューポイントです。手漕ぎボートやスワンボート(有料)を利用して池の中央から眺める桜並木は、陸上の混雑とは完全に隔絶された別世界のアングルを提供してくれます。
さらに混雑を避けるための穴場鑑賞スポットとして、以下の3カ所を推奨します。
- 国立西洋美術館〜東京文化会館の連絡通路周辺:近代建築の巨匠ル・コルビュジエ設計の美術館本館を背景に、幾何学的な空間美と桜の融合が楽しめます。人流のメイン導線から一段外れているため、ベンチに腰掛けての休憩が容易です。
- 上野大仏・パゴダ薬師堂の丘:小高い丘の上に位置し、眼下に広がる桜の天蓋をやや高い視点から見下ろすことができます。知る人ぞ知る撮影スポットであり、滞在時間が短い流動的な空間です。
- 寛永寺根本中堂・徳川家霊廟周辺:公園北側の鶯谷方面へ抜けるエリアに位置し、観光客の数が一気に激減します。厳かな寺院建築と古木の桜が調和し、江戸情緒を色濃く残す静寂な鑑賞が可能です。