ネット上の掲示板やSNSでは、「通学リュックを洗濯機で洗ったら中が粉だらけになった」「脱水中に異音がして洗濯機ごと壊れそうになった」といった悲痛な声が毎年数多く寄せられています。大手バッグメーカーのカスタマー窓口に寄せられる破損相談のなかでも、不適切な自己流洗濯によるトラブルは上位を占めています。
最大の原因は、リュック内部に施されている「ポリウレタンコーティング(PU加工)」の物理的破壊です。ナイロンリュックの多くは撥水・防水性を高めるために裏面に樹脂加工が施されていますが、洗濯機の激しい水流や強い摩擦を受けると、この層がひび割れて剥離し、白い粉となって噴き出します。一度加水分解や物理破壊を起こしたコーティングは、二度と元には戻りません。
さらに危険なのが洗濯機による脱水工程です。防水性の高い生地は水を通さないため、遠心力で水が外へ抜けず、洗濯槽の内部で水風船のような状態になります。これが原因で槽内で激しいアンバランスが生じ、脱水槽の異常振動やエラー停止、最悪の場合は洗濯機の転倒・破損事故に発展するリスクを孕んでいます。手洗いが強く推奨される背景には、製品だけでなく家電を守るという極めて合理的な理由が存在します。