『薬屋のひとりごと』のドラマ性を一段上のステージへと押し上げているのが、脇を固めるベテラン・中堅声優陣の卓越したアンサンブルです。
翡翠宮の主・玉葉妃役の種﨑敦美は、『SPY×FAMILY』のアーニャ役や『葬送のフリーレン』のフリーレン役で世界的な評価を受ける名優です。愛らしさの中に冷徹な政治的判断力を秘めた上級妃を、柔らかな声色でありながら芯の通った語り口で表現し、後宮の頂点に立つ女性の凄みを鮮やかに描き出しました。
壬氏の世話係兼護衛を務める高順役の小西克幸は、武官としての厳格さと、壬氏の我儘に振り回される「胃痛持ちの苦労人」としての哀愁を絶妙なニュアンスで演じています。猫猫への呼びかけである「小猫(シャオマオ)」という一言に含まれる温かさと諦観は、視聴者の心を掴んで離しません。
そして物語後半の最重要人物・漢羅漢役の桐本拓哉の演技は、まさに圧巻の一言に尽きます。普段の飄々とした変人ぶりと、他者の顔が碁石に見えるという認識障害を抱えながらも愛娘・猫猫に向ける狂気的な執着、過去の悲恋を抱えた男の哀哀たる独白など、鬼気迫る怪演で視聴者を圧倒しました。