なぜ、一見すると涼しそうな海沿いの街や高台の地域でさえ、40度を超えるような極端な酷暑に見舞われるのか。そのメカニズムの核心に存在する重要な気象要因がフェーン現象である。湿った空気が山脈を越える際に水分を雨として失い、乾燥した高温の温風となって反対側の斜面を急速に駆け下りる気流の動きが、局地的な猛暑を引き起こす。
熊谷市や浜松市で記録された極端な高温も、上空の強い太平洋高気圧とチベット高気圧が重なるダブル高気圧の勢力下に、強烈なフェーン現象が複合的に作用した結果生み出された。山を越えて吹き下ろす熱風は、周辺の湿度を劇的に低下させると同時に、地表付近の気温を一気に跳ね上げる。近年では、北陸地方や東北地方の日本海側においても、台風や低気圧に向かって吹き込む南風が山を越えることで、驚くべき高気温が観測されるケースが増加している。