キャリア初期に観客の涙を誘った心温まるヒューマンドラマから一転、近年は人間の業や暗部をえぐるサスペンス・ミステリーへと意欲的に舵を切っている。その変遷は、彼女自身の表現者としての成熟と完全にリンクしている。
「善悪では割り切れない人間のグレーゾーンを演じるときが、最も血が通うのを感じます」と語る瞳には、鋭い光が宿る。単なる被害者でも加害者でもない、複雑な動機を抱えたキャラクターに血肉を通わせるアプローチは、共演するベテラン俳優陣をも唸らせている。役の背景にあるトラウマや歪んだ愛情を徹底的にノートに書き出し、自分自身の記憶と交錯させていく手法は、彼女独自のストイックな役作りの結晶だ。