三人姉妹の末っ子として生まれ育った坂本選手。フィギュアスケートを本格的に続けるためには、年間で数百万円規模の遠征費や衣装代、リンク貸切料が必要となる。一般家庭にとっては極めて重い負担だが、両親は決して「お前にはこれだけのお金をかけている」という恩着せがましい態度を見せなかった。
姉たちに対しても一切の差別をせず、家族全員が等しく愛情を注がれる環境を死守した。スケート選手だからといって家の中で特別扱いはされない。風呂掃除や部屋の片付けといった日々の家事も姉妹平等に分担された。
競技の過熱によって家族のバランスが崩壊する家庭も少なくない中、地に足のついた家庭環境を守り抜いた母の覚悟。それがあったからこそ、彼女は天狗になることもなく、誰からも愛される謙虚で気さくな人柄を維持し続けることができた。