NHK退職後、彼女が選んだ道は誰もが驚く「単身でのフランス・パリ留学」でした。1965年、海外渡航がまだ自由化されたばかりで、一般的な日本人が気軽に海外へ行けなかった時代に、彼女は名門ソルボンヌ大学の外国人講座へと進学します。
パリでの生活において、野際さんは日常会話にとどまらない流暢かつ美しいフランス語を完璧に習得しました。現地のカフェカルチャーやオートクチュール、文学に深く触れたことで、彼女のセンスはさらに洗練されていきます。
帰国後、テレビやラジオで披露された淀みのないフランス語のスピーチや、本場のエスプリを感じさせる軽妙な受け答えは、当時の視聴者に「最先端の知性を纏う自立した女性」として鮮烈な衝撃を与えました。このパリ留学で培った国際感覚と教養こそが、彼女の女優人生における確固たるバックボーンとなったのです。