固定化されたイメージを粉々に打ち砕く転機となったのが、2010年に公開された主演映画『失恋殺人』だった。江戸川乱歩の短編を原作とする本作で、彼女は大胆な濡れ場や情念の渦に身を投じ、妖艶さと狂気を孕んだ圧巻の演技を披露。その覚悟は当時の映画産業関係者や批評家たちを唸らせた。
単なるスキャンダラスな話題作りではない。役柄の芯にある孤独と美しさを泥まみれになりながら掘り起こすそのアプローチは、彼女が「元アイドル女優」から「本格派の映画俳優」へと羽化を遂げた決定的な瞬間だった。安住の地を自ら捨て、リスクを背負って泥沼の表現に飛び込む勇気こそが、彼女のキャリアを強固なものにしたと言える。