かつて平成期に大ヒットした漫画『夜王』の世界では、豪快な酒の煽り合いや、シャンパンタワーをめぐる力技の駆け引きが象徴的に描かれていた。酒を飲むこと=誠意であり強さである、という暗黙の了解が支配していた時代だ。
しかし、近年のヒット作『明日、私は誰かのカノジョ』や、YouTube、Netflix等で配信されるリアリティあふれるドキュメンタリー番組が光を当てているのは、まったく異なるナイトビジネスの現代像である。画面に映し出されるのは、客の孤独やストレスに深く寄り添い、精神的な居場所を提供するプロフェッショナルとしてのホスト像だ。お酒という興奮剤に頼らず、素面で繊細な心理戦を繰り広げる接客術が、水商売のリアルとして広く認知されるようになっている。