ショーケースの前で誰もが息をのむ。看板メニューの「搾りたて生乳ジェラート」は、毎朝搾乳したばかりの新鮮な生乳をベースに、最小限の糖分と空気だけを含ませて練り上げられる。一口運べば、濃厚なコクが広がりながらも、後味は驚くほど軽やか。乳脂肪が舌に残る重さは微塵もない。牧草の香りをかすかに感じるほどの鮮度こそが、最大の調味料だ。
今季の厨房からは、知る人ぞ知る限定メニューの知らせも届いた。自家製マスカルポーネを贅沢に使い、季節の果実を煮詰めたコンフィチュールを重ねた特製パフェだ。搾乳量が安定する時期にしか提供されないため、メニュー表に載る日すら不定期。この幻の皿を目当てに、足繁く通い詰める常連客の後を絶たない理由がそこにある。