厨房のカウンター越しに見えるのは、色鮮やかな無農薬野菜の山だ。シェフが手際よく包丁を入れるたび、みずみずしい水分がまな板に弾け飛ぶ。使用されているのは、全国の信頼できる契約農家から毎朝届けられる有機JAS規格の厳選素材。土壌作りから徹底管理された野菜は、それ自体が濃厚な旨味と野性味あふれるエグみ、そして澄んだ甘味を持っている。
ベースとなるスパイスは、ホールから丁寧に焙煎して手挽きされたものばかり。一般的なルーに見られる過度な小麦粉や化学調味料は一切排除されている。熱を通す時間を秒単位で調整し、野菜本来の酵素とスパイスの薬膳効果を最大限に引き出す手法は、まるで精密な実験のようだ。一口含むと、まずガラムマサラの爽快な刺激が鼻腔を抜け、直後に野菜ペーストの奥深い滋味がじんわりと広がる。