本作の代名詞とも言えるのが、第1話に登場する「だるまさんがころんだ」の絶望的な緊張感です。教室の教卓に突如現れたダルマが、動いた生徒の首を次々と吹き飛ばしていくこのゲームには、緻密な攻略法と心理戦が隠されていました。
【だるまステージの攻略ロジック】
- クリア条件:制限時間内にダルマの背中にある「ストップボタン」を押すこと。
- 行動の制限:ダルマが後ろを向いている間(「だるまさんがころんだ」と唱えている間)しか前進できない。
- 最大の障壁:ダルマが振り向くスピードは不規則に変化し、教室内は血と恐怖でパニック状態に陥る。
- 高畑瞬の突破策:天谷武らによる混乱と犠牲のなか、瞬はクラスメイトの服や身体の反動を利用して跳躍し、空中でダルマの背後を取りボタンを押すという離れ業を成し遂げました。
また、作中で不気味なアクセントとなっているのが、古くから日本各地で伝承されてきた選び歌「どちらにしようかな 天の神様の言うとおり」です。この童謡は地域によって続きのフレーズが大きく異なります。
一般的な関東圏の「なのなのな」をはじめ、関西圏の「あぶらむし」「柿の種」、東北地方の「鉄砲撃ってバンバンバン」「すずめが三匹止まった」など、多種多様なバリエーションが存在します。金城宗幸氏の巧みな演出は、日本人が幼少期に無邪気に口ずさんだ「運任せの童謡」を、命の選別を行う絶対的な神の宣告へと反転させた点にあり、これが読者の無意識の恐怖を激しく揺さぶる結果となりました。