林葉直子さんと中原誠十六世名人の不倫関係が公に暴かれたのは、1998年に出版された林葉直子さんの告白手記が発端でした。当時、中原誠氏は日本将棋連盟の重鎮であり、棋界の頂点に君臨する絶対的権威。一方の林葉さんは、10代で女流王将をはじめ数々のタイトルを総なめにした天才女流棋士でした。
告白本の中で林葉さんは、20代前半から約数年間にわたり中原氏と深い男女の関係にあったこと、妊娠と中絶を経験したこと、さらには留守番電話に残された中原氏の肉声メッセージ(「モシモシ、中原です」という特徴的な語り口)を生々しく暴露しました。当時のワイドショーや週刊誌は連日この問題をトップニュースで報じ、清廉潔白を重んじる伝統的な将棋界のイメージは根底から覆される事態となったのです。
報道が過熱する中、中原誠十六世名人が開いた緊急記者会見はメディア史に残る異例のものとなりました。当初は沈黙を守っていた中原氏ですが、詰めかけた無数の報道陣の前で「男女の関係にあったことは事実です」と不倫関係を公式に認め、頭を下げました。最高峰の名人が自らの不貞行為を公の場で認める姿は、将棋ファンのみならず日本社会全体に巨大な衝撃を与えました。