関係者や番記者の証言によると、2014年のチームは新チーム結成当初、歴代の大阪桐蔭の中でも決して評価が高い学年ではありませんでした。前年の2013年には森友哉選手(現・オリックス)らを擁しながらも甲子園3回戦で敗退。先輩たちの圧倒的な背中を見てきた新チームの選手たちは、秋季近畿大会でも苦杯をなめ、センバツ出場を逃すという屈辱を味わっています。
当時の特番インタビューや手記において、選手たちは「自分たちは歴代で一番下手くそだという自覚があった」と口を揃えて振り返っています。主将の中村誠選手を中心に、夜遅くまでミーティングを重ね、技術的な課題だけでなく「チームとしてグラウンド内外でどう振る舞うべきか」を徹底的に議論しました。練習グラウンドでは、西谷監督の怒号が最も多く飛んだ世代でもあります。
しかし、この「弱者の自覚」こそが彼らの最大の武器となりました。1点をもぎ取る走塁、泥臭い進塁打、徹底された中継プレー。派手なホームランや剛速球に頼らない野球を突き詰めた結果、春を越えて夏を迎える頃には、どんな局面でも動じない強靭な精神力と戦術遂行能力を持つ集団へと変貌を遂げていたのです。