インターネット上の掲示板やSNSでは、時折「四国や高知には活火山がないため、本物の温泉が少なく泉質も薄いのではないか」という誤った言説が見受けられます。しかし、これは地質学的な根拠を欠いた完全な誤解です。
四国地方の温泉は、火山活動ではなく、海洋プレートの沈み込みに伴って深部から上昇する高熱の流体や、太古の地殻変動によって形成された深層地下水が断層に沿って湧出する「非火山性深層熱水コンプレックス」に由来します。マグマ由来の硫黄臭こそ控えめなものの、地中深くに閉じ込められていた太古のミネラル分が凝縮されており、塩化物イオンや重炭酸水素イオンの含有率は全国の有名温泉地と比べても引けを取りません。
一方で、旅行者が直面する物理的な「盲点」が存在することも事実です。それは、高知県特有の移動距離の長さとアクセスの制約です。高知県は東西に約190kmと非常に長く、高知市内から足摺岬までは車で高速道路を利用しても片道約2時間30分〜3時間を要します。山間部の秘湯へ向かう道路には道幅の狭いすれ違い困難な区間も残されています。
「公共交通機関の電車やバスだけで手軽に湯巡りができる」と思い込んで旅程を組むと、1日の大半が移動で潰れてしまうリスクがあります。高知の温泉地を真に満喫するためには、レンタカーの確保と、1日あたりの移動距離を100km圏内に収める余裕あるスケジューリングが不可欠です。