消費した以上のエネルギーを食事から補給できなければ、人間の体は自身の筋肉を分解して糖新生を行い、活動エネルギーを捻出します。これが、間違ったダイエットや乱れた食生活によって「痩せたけれど極端に疲れやすくなった」と嘆くメカニズムです。体力をつける食べ物・栄養素を戦略的に摂取することは、運動以上に即効性のある体力回復策となります。
細胞内のミトコンドリアで効率よくエネルギー(ATP)を燃焼させるためには、主食(糖質)だけでなく、それを代謝する補酵素であるビタミンB群(特にB1、B2、B6)が欠かせません。豚ヒレ肉、大豆製品、玄米、カツオなどに豊富に含まれるこれらの栄養素は、摂取した炭水化物を淀みなく活力へと変換する着火剤となります。さらに、活性酸素による細胞疲労を抑制する「イミダペプチド(鶏むね肉に高濃度含有)」や、抗酸化作用の高いアスタキサンチン(鮭、エビ)を夕食に導入することが、翌日への疲労持ち越しを防ぐ鍵です。
日常に取り入れやすい体力をつける食事メニューの一例を挙げると、朝は「納豆+卵かけ玄米ご飯に豆腐とワカメの味噌汁」、昼は「豚肉の生姜焼き定食(キャベツ大盛り)」、夜は「鶏むね肉とブロッコリーの蒸し焼き+具だくさん豚汁」といった、たんぱく質(体重1kgあたり1.2gを目安)とビタミン群を網羅した献立が理想的です。
そして、摂取した栄養素を使って損傷した筋線維や神経系をリセットするのが「睡眠」です。体力回復を促す睡眠の質を左右するのは、就寝直後の約90分間に訪れる最初の「ノンレム睡眠(深睡眠)」の深さにあります。この時間帯に1日の成長ホルモン分泌量の約70%が放出され、免疫細胞の修復とグリコーゲンの再合成が行われます。質の高い睡眠を確保するためには、就寝の90分前に入浴を済ませて深部体温を一時的に上げ、寝床に入るタイミングで体温が急降下する熱放散のリズムを作ることが決定打となります。