多くの国民や考古学ファンが「本格的に内部を発掘すれば、銘文入りの銅鏡や人骨が出てきて誰の墓か一発でわかるのではないか」という疑問を抱きます。しかし、箸墓古墳の本格的な主体部発掘調査は現在も行われていません。
その最大の理由は、宮内庁が同墳を「陵墓(皇族の墓)」として管理しているためです。宮内庁の基本方針は「皇族の尊厳保持と祭祀の継続」であり、学術的な好奇心による掘削は原則として認められていません。過去には研究者の立ち入りすら厳しく制限されていましたが、2010年代以降、日本考古学協会などの学会代表団による限定的な立ち入り調査(外周部の表面観察や測量)が段階的に認められるなど、少しずつ情報公開が進んでいます。
非破壊検査技術(宇宙線ミュオンを用いた内部透視調査など)の導入も検討されており、墳丘を傷つけることなく玄室や石積みの内部構造を解明する試みが期待されています。