ネット上の掲示板やSNSで頻繁に交わされる「フェア初日なのに目当てのネタが準備中になっていた」「期間限定はいつまで販売されるのか」という疑問。この現象には、外食ビジネスの構造的な要因と、ゼンショーホールディングス公式発表資料やIRデータからも読み取れる独自のロジスティクス戦略が深く関係しています。
まず、はま寿司の売り切れの理由には、大きく分けて「1日の提供上限」と「フェア全体の在庫上限」という2つのレイヤーが存在します。
第一に、日ごとの品質管理と解凍・仕込み上限です。特に鮮度が命となるマグロの中とろや白身魚、生ウニなどは、店舗バックヤードでの解凍時間や品質維持可能時間が厳密に規定されています。廃棄ロスを極小化する需要予測AIが各店舗に導入されており、店舗の規模や曜日ごとの来店客数に応じて「その日に仕込む上限数」が算出されています。そのため、ランチタイムに想定以上の注文が殺到した場合、夜の営業開始時点で「本日分売切」の表示が出てしまうのです。
第二に、全社的な仕入れ枠と終了時期のズレです。公式告知には「〇月〇日まで(※なくなり次第終了)」と記載されるのが通例ですが、この期日はあくまで「最長スケジュール」に過ぎません。全国500店舗以上を展開するスケールメリットを活かして大量調達を行う一方、漁獲量に左右される天然ネタは、全社の総在庫が想定ペースを超えて消費された段階で、予告期日を待たずに終売となります。
「フェア終了までまだ1週間あるから大丈夫」と油断していると、すでに近隣店舗では通常メニューに切り替わっていた、という事態が起きるのはこのためです。絶対に味わいたい目当ての皿がある場合、フェア開始から3日以内の平日11時〜14時の時間帯を狙うのが、業界関係者の間でも定石とされています。