人間の舌にある味覚センサー「味蕾(みらい)」が感知するのは、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の「基本五味」だけです。つまり生物学的に見ると、辛味は味覚ではなく「痛み(痛覚)」や「熱さ(温覚)」として脳に認識されています。
辛いものを口にしたとき、細胞の表面にある痛覚と温覚受容体(特にTRPV1などの受容体タンパク質)が刺激物質と結合します。TRPV1は本来「43度以上の危険な高温」を感知して生体を守るセンサーですが、唐辛子などの辛味成分が触れると、熱くないにもかかわらず「熱くて痛い!」というシグナルを脳へ送ります。これが、辛いものを食べると体がカッと熱くなり、発汗する生理現象の正体です。