楽曲の根底にあるのは、日本神話に登場する海の神「綿津見神(ワダツミノカミ)」の伝承です。タイトルの「ワダツミ」は古語で海そのものや海の主を指し、歌詞全体を通じて海に呑まれ帰らぬ人となった相手への尽きない思慕が綴られています。
歌詞中では、戻らない恋人を浜辺で待ち続ける女性の視点が貫かれています。ただ悲しみに暮れるだけでなく、やがて自らが大地に根を張り、一本の樹木となって海を見守り続けるという神話的・変身譚的なアプローチが取られている点が、この楽曲の歌詞の解釈を際立たせる大きな特徴です。
波間に消えた命と、それを地上で待ち焦がれる魂。人間界と異界の境界線である海辺を舞台にすることで、単なる失恋ソングにとどまらない、壮大で神秘的なレクイエムとしての深みが生まれています。