宮崎の郷土料理店で「宮崎地鶏 炭火焼き」を初めて注文した旅行者が必ず驚くのが、肉全体が真っ黒に覆われたそのビジュアルです。一見すると焦げ付いているように見えますが、苦味は一切なく、独特の香ばしさと脂の甘みが押し寄せます。
この黒さの正体は、調理過程で意図的に施される「燻煙(スモーク)の皮膜」です。職人は強い炭火の上に鶏肉を金網で載せ、肉から滴り落ちる上質な鶏脂を炭に当てて激しい炎と煙を立ち昇らせます。その濃厚な煙の中に肉を素早く通し、炎で表面を瞬時に焼き固めながら、煙の微粒子(炭微粉と香気成分)を肉の表面に吸着させているのです。
この高温短時間調理により、肉の表面ではアミノ酸と糖が反応するメイラード反応が急激に進行し、内部の肉汁流出を完全にブロックします。遠赤外線効果によって中はふっくらレア感を保ちつつ、外側は力強いスモーキーフレーバーをまとうという、極めて合理的な調理科学が成立しています。
名店で提供される宮崎地鶏 もも焼き 食べ方にも地元ならではの流儀が存在します。熱々の鉄板や皿に乗って運ばれてきたもも焼きは、まず何もつけずにそのまま口に運び、炭の香りと純粋な肉の旨味を味わいます。次に、添えられた爽やかな辛味の柚子胡椒を少量乗せることで、濃厚な脂の後味を引き締め、肉の甘みを一段と際立たせます。さらに皿に残った上質な鶏脂に、付け合わせの生キャベツを浸したり、おにぎりを絡めて食べるのが現地通の定番です。