実際に店舗へ足を運ぶと、ネット上の華やかな投稿だけでは見えてこない、純喫茶ならではの生々しい実態が浮き彫りになります。SNS上の短文レビューと、現地で長年通い続ける常連客の声を突き合わせると、いくつかの明確な傾向が見えてきました。
まず客層の二極化です。開店直後の午前中は、新聞を片手にモーニングを食べる70〜80代の常連客が静寂を作っています。ところが13時を過ぎると、スマートフォンのカメラを手にした20代前後の女性グループやカップルが急増。伯爵の店内では、真紅のソファを背景にクリームソーダを構える光景があちこちで見受けられます。
取材中に耳にしたある20代女性の手記のような告白が印象的でした。「最新のおしゃれカフェは白を基調にしていて綺麗だけれど、どこか落ち着かない。伯爵の少し暗めの照明と、重厚なベロアに深く沈み込む感覚は、実家にいるときよりもホッとする」。単なる映え写真の撮影ではなく、心理的な安息を求めて足を運んでいる実態が窺えます。